「がんばる企業のご紹介」第5回目は…
経営が安定しづらい創業期を乗り越えながら、個人事業から法人化し、新店舗の出店も経験された飲食店経営者のかたをご紹介します。
代表 |
喜多 智則 |
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業種 |
遊興飲食店 |
創業年月 |
平成24年10月 |
住所 |
「岡崎にこにこ餃子」 「刈谷にこにこ餃子」 |
定休日 |
年末年始(不定休日あり) |
【取材日】H30.5.15 【取材者】企画部企画課 石川、上床
秘伝の“羽根付きひとくち餃子”をメインに、バルメニューも充実した居酒屋「にこにこ餃子」を、名鉄東岡崎駅とJR刈谷駅の近隣で2店舗経営しています。
餃子は、多くの人に親しまれ、好まれていますが、食べられるお店は、ラーメン店や中華料理店のイメージが強いと思います。「にこにこ餃子」では、お洒落な店でこだわりの“羽根付きひとくち餃子”をご提供しています。
若いときから飲食店で働いており、いつかは独立したいという漠然とした思いはありましたが、30歳のときに、35歳までに創業するという目標期限を定めました。そして、目標とした35歳になる年に無事創業することができました。
創業を具体的に目標としたときから、自分の内なる思いだった「創業する」ことを、人に声を出して伝えるようにし、従業員の立場で働いていた飲食店でも、”経営者”のつもりで働くように意識を変えました。また、他の飲食店を積極的に見に行くようにし、経営者のかたに話を聞くことを心がけました。前勤務先の社長の紹介も含め、たくさんの経営者のかたから話を伺いましたが、自分とこんなに考え方が違うのかと、そのスケールの大きさに驚き、刺激を受けたことを覚えています。
前勤務先では、店長として店舗運営をまかせていただける環境だったため、スタッフの教育、仕入れや経理面等で経験を積ませていただきました。しかし、経理については、実際に創業してからは、全然印象が異なりました。同じように、半年、1年先の予算を立てますが、売上が落ち込んだときなど、本当にヒヤヒヤすることもあり、こんなにも緊張を伴うものなのかと思いました、こうしたことを経験したことで、お客様が来てくれることに対する喜びが大きくなり、感謝の気持ちが今まで以上に高まりました。
責任やプレッシャーは大きいですが、良くも悪くも自分の思ったように出来ます。
また、スタッフの成長も大きな喜びです。長く働いてくれたスタッフは、最初感じた印象から、見違えるほどに成長することがあります。お客様への感謝の気持ちが高まったと言いましたが、これはスタッフにも言えることで、「人」に対する思いは、本当に強くなりました。
「人」がいないと成り立たない職業。人が一番大切です。
創業後、1年程度はオープン景気もあり、比較的順調でしたが、その後売上が落ち込んでしまったことがあり、そのときは苦労しました。また、飲食業界全体が長らく抱える問題でもありますが、人手不足は常に感じています。スタッフが仕事をできるようになるには、半年から1年程度かかりますし、入れ替わりも含め、人手・人材の確保は難しい問題です。
創業前から、多店舗展開を目標としていました。1店舗目が軌道に乗ってきたことを受け、元々抱いていた自分の地元である刈谷に貢献したいという夢を実現するために、2店舗目を出店しました。
多店舗展開として、具体的には5店舗経営することが目標です。ただし、資金面を含め、出店したいから出店できるというものではありません。次の出店については、人材を揃えることが必要だと考えていますので、今は人材教育が一番の課題です。
創業資金を相談した金融機関を通じて保証協会さんの存在を知り、実際に利用することができ、それにより創業という夢をかなえることができました。
やる気や力があってもお金がないために創業できないというかたも多いと思います。創業するときには、まとまった資金が必要となり、自己資金だけでは難しいことが多いと思いますが、そうしたときの資金調達を保証協会さんがバックアップしてくれます。
まだまだ保証協会さんの存在を知らないというかたも多いと思いますので、いろいろな場所にパンフレットを置いていただくなど、PRしていただき、もっと身近な存在になっていただけたらと思います。
私自身、創業前に“経営者”の気持ちになって仕事に取り組みましたが、創業を決意したときに、気持ちを切り替えることは大切だと思います。ただし、実際に経営者になると、想像とは違い、頭の中で考えていたことでは全然足りませんでした。やってみないと分からないこともたくさんありますので、「踏み出す」勇気を持つことも大切だと思います。
経営者は「孤独」です。自分の思ったとおりにできる一方で、全ての責任とプレッシャーを自身で受け止めなければなりません。私が経営者として、苦しいときに踏ん張れているのは、きつく苦しい修業時代を乗り越えた経験があるからだと思います。当時は、寝る時間もなく、泣きたい気持ちになることもありましたが、こうした経験がなければ、ひょっとしたら、どこかで気持ちが折れてしまったかもしれません。「苦労は買ってでもしろ」とよく言われますが、本当にそのとおりだと思います。
これから創業されるかたは、今の経験が未来の自分をつくると思い、頑張っていただきたいと思います。